製品安全の世界の動向について
製品安全の世界の動向について
昨年12月25日に製品安全4法の改正があり、当学会での関係性も含め下記の通り報告します。
特に我が国では「Product」を製造物と和訳し、これにより工業製品と解され、食料、ソフトウエアやそれを利用したさまざまなサービスなどは対象から外されてきた経緯があり、海外との解釈の相違が生じていました。
これらも今回のEU PLDの対象となり、設計・製造・表示などの安全品質基準であったProduct Safetyそのものが、今回は市場に出荷され破棄されるまでのデジタルシステムでの追跡、その目的の通知方法を具体的に示していることが大きな転換であります。
PL法がそもそも、「設計、製造、指示警告」の欠陥とし、PSの技術基準と深く関わることであり、今回EUで昨年12月13日にEU全域にGPSRとして発令し、それをベースに2027年末までにEU各国でPL法を改正します。このように、元々PSとPLは切り離させるものではなく、作る側の遵守項目と市場での被害に際し、迅速に被害者救済として懲罰的賠償を伴い事業者の責任を明確にした製品安全の取り組みが開始しました。
EU全域ではSafety Gateというデータベースにリコール登録をGTINで製品を特定し出荷ロットで行います。これによりマーケットプレイスなども含むあらゆる事業者は、このコードを利用し、リコールの確実な実施、対象製品は販売の停止と市場からの排除が行われることになります。
一方、我が国では、PL法は民法の特別法とし消費者庁が所管、非食品のPSは経済産業省、食品安全、衛生上の安全、自転車から自動車など、消費者安全は消費者庁などと、監督省庁が分散しています。このような構造化では責任主体の監視が効果が限定され、多様な素材などを用いた高度な技術による巨大なグローバル産業の進展により、PSマークを表示したリコール品による製品起因の重大事故が止まりません。
今回製品安全4法の改正では、特に国内管理人制度として世界の流れを取り入れた、これまでとは異なる市場監視規制強化に変わったことと理解すれば、製造から販売、消費活動の結果責任としてのPL法の改正を待たなくても製品の安全品質の取り組みが進むと期待しています。ただし、この法律において、特定製品という枠組みだけが対象であり、多くの事業者は関係のないことと捉えられていることに危機感を持ちます。
この特定製品は規制法にリスト化されたものに限られており、リチウムイオン電池製品などは、暖房ユニットをつけた防寒具など、多くの製品がこのリストに入らないものでもあります。そこで、事業者が自社製品が非対象と解釈し油断することは、国内法もポジティブリストとなり行政判断でリスト更新ができることに注目すれば、この先出荷販売後、これらもリストに加えられ厳しい対応が進むことは十分あるという認識を持たねばなりません。その責任が経営者に集中することはいうまでもありません。
PL研究学会では法律、リコール、消費者対応と3部会での研究を進めており、今年から数年は我が国でも大きな動きがあると思われ、情報システムなどの研究者なども含めた多様な研究者、実務者の皆様との活発な情報交換、論文などの発表をお待ち申し上げております。
2026年1月15日
一般社団法人PL研究学会 代表理事(製品リコール研究部会長) 渡辺吉明
